日本救急医療財団が、今年度から初めて実施した、救急救命処置の公募の結果が公表されました。同財団が、厚生労働省の委託を受け、新しい救急救命処置の提案を受け付けたものです。全国の消防本部、メディカルコントロール協議会、救急医療に関連する学会などが対象でした。新しい処置のみならず、既存の救急救命処置の要件の見直しなども合わせて募集していました。

1月末に公表された公募結果の概要は、

・全部で15の提案

・うち12は新しい救急救命処置についての提案

・残り3つが既存の特定行為(救急救命処置のうち、医師の指示を直接得て実施するもの)の指示要件(包括指示化)の提案

であったようです。( 一団体で六つもの提案を行ったところも! )

新しい処置の提案としては、従来から巷でよく言われていた骨髄針を使った輸液路の確保、外傷患者に対する超音波検査の実施、エピペンの処方を受けていない傷病者に対するアドレナリンの投与などがあり、

一方でこれまで救急救命士にはあまり知られていなかった外傷患者に対するトラネキサム酸の投与、アンカロンの投与などの提案もあったようです。トラネキサム酸とは、静脈注射や点滴ボトルに投与される止血剤のことであり、医療機関では、「トランサミン」として、外傷や脳出血の患者に対して日常的に使われているようです。アンカロンとは、難治性 VF に対する抗不整脈剤のことですね。

既存の処置の見直しとして、「アドレナリンの投与」、「ラリンジアルマスクやラリンゲアルチューブといった器具を用いた気道確保(気管挿管を除く)」の際の医師の指示要件の変更が提案されていました。これらの処置については、現在、病院などにいる医師から指示を得て実施することが法的に求められていますが、医師のその都度ごとの指示は不要にしてはどうか」という提案です。現状行われている医師の指示が、「はい、どうぞ実施してください」というだけの形骸化されているやり取りが多いとの指摘があった中での提案なのでしょう。

日本救急医療財団では3月の初めにも、公募した結果の検討結果について公表するとしています。その結果が気になりますね。(平成31年2月7日の記事)

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