救急救命士の業務の場の拡大についての議論が進んでいます。

<議論の背景>

1 潜在救命士の増加

ご存知の通り救急救命士が業務を行える場所は、救急車の中かその救急車に乗せるまでの間に限定されています。そのため、救急救命士が十分にその資格を活用しようとすると、その就職先は消防機関か海上保安庁にほぼ限られてしまいます。

医療機関の中でも挿管ができるようになる?

ですが、大学や専門学校などで救急救命士の資格を取得した全ての人がそれらの機関に就職できるわけではありません。消防官になりたい人の増加、公務員人気などを背景に、競争率が高いのです。

一番人気?の東京消防庁の職員採用試験の状況をみると、その競争率は 軒並み10倍を超えています!

そのため、救急救命士の資格を持っていながらその資格を活かせていない、いわゆる"潜在救命士”と呼ばれる人が、1万人弱(平成30年3月末)いるとされています。

2 救急医療の人手不足

他方、救急医療の場は明らかな人手不足です。救急科や産婦人科で働く勤務医の時間外労働時間は過労死ラインを超えているとの報道もあります。確かに、それぐらい働いている医師をみている救急隊員もいるでしょう。

実際に人が足りないのか、それとも医師を十分に雇う経済的余裕がないのか、それとも人も足りてるしお金も足りてるけど効率が悪いのか、いずれにしても救急医療に関わる人が長時間働いている状況があります。

そして、昨今の働き方改革の影響が医療の現場にもおよんでいます。日本救急医学会も、「医師の働き方改革に関する特別委員会 中間報告」を出して、救急医の健康を守りつつ地域の救急医療体制を維持するための具体的方策の提案を行っている状況です。

<医療機関で救命士が業務を行えれば>

このような背景のなか、救急救命士の業務の場所を医療機関内にも広げ、医師や看護師が現在おこなっている業務の一部を救急救命士が担うことで、救急医療の現場の人手不足を少しでも緩和できないか?という考えがあるのです。これは、潜在救命士の方にとっても、医療機関において活躍の場が与えられるという話になります。

<議論の状況>

救急救命士の業務は、厚生労働省の管轄ですから、厚生労働省で議論が進まないと現実的にはなりませんが、厚労省の検討会(「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」)でこの議題が俎上に登ったようです。

また、救急救命士の業務の場所は、救急救命士法という法律で規定されている関係上、国会での議論が不可欠です。つまり国会議員の理解が進まなければ現実化されません。それについても、政府与党の議員勉強会でも議論がなされたことが報道されています。

救急救命士の業務が医療機関内に広がることには、もちろん良いことばかりではなく、課題もあるはずですが、いずれにしても丁寧な議論の上で方向性が明らかになることを期待します。

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